
Meta「Muse」を2日間使ってみた|先回りして動くAIの実力と注意点
Meta「Muse」を2日間使ってみた|先回りして動くAIの実力と注意点


結論から言うと、Metaの「Muse(ミューズ)」の一番の持ち味は、頼まなくても、気になることを先に知らせてくれるところでした。
日本でも無料で使えて、Gmail・Googleカレンダー・Slackとつなぐと、「会議の出欠をまだ返していませんよ」「期限のあるメールが届いていますよ」と、自分から声をかけてきました。
ただし、何も設定しない状態の「先回り」はMeta任せで、知らせるかどうかもAIが自分で選びます。私の環境では、2日目の朝7時台を最後に動かなくなりました。
そこで「HEARTBEAT.md」という設定ファイルに、見てほしいことを会話で書き足すと、30分ごとにきちんと見回ってくれるようになりました。Museは、自分で「何を見てほしいか」を伝えてはじめて本領を発揮するAIです。
ホテル探しや買い物の代行も試しましたが、こちらはほかのAIでもできる範囲です。料金が米ドルで出る、商品の機能を間違えるといった注意点もありました。
この記事では、実際に2日間使ってわかったことを、画面をまじえて順番に紹介します。
Meta「Muse」とは?
Museは、Meta(FacebookやInstagramの会社)が提供している「パーソナルAIエージェント」です。質問に答えるだけのチャットAIと違い、メールの送信や予定の追加、ネットでの調べものなどを、人の代わりに実際にやってくれます。
日本での提供:2026年10月23日に日本での提供が始まりました。北米以外では最初の地域です(Metaの発表)
使える場所:iPhone・Androidのアプリと、ブラウザーの muse.ai
料金:基本機能は無料。1週間ごとの利用上限があります
特徴:Muse専用のコンピューター(クラウド上)で動くので、アプリを閉じている間も作業を続けられます
同じような「常に動いているAI」には、OpenAIの「dots」やAnthropicの「Claude Duet」もあります。ただ、dotsは月額の有料プランが必要で、Claude Duetは今のところ米国限定です。日本から無料ですぐ試せるのは、この中ではMuseです。

トップ画面はすべて日本語で、見出しの後半が「タスクを代行」「買い物を代行」と切り替わる作りでした。この時点で、「個人の用事を任せるAI」という方向性がはっきり伝わってきます。
始め方と、最初にやっておきたい設定
登録は、muse.aiで携帯電話番号かメールアドレスを入れるだけです。ログインすると、Museが「私を何と呼んでほしいですか?」と名前の候補を出してきます。

画面の右側を見ると、登録したばかりなのに予定タスクが2つ入っています。30分ごとに動く「Heartbeat(ハートビート)」と、毎朝使い方のコツを教えてくれる「Agentic feature tour」です。このHeartbeatが、あとで大事な意味を持ってきます。
最初に「AIモデルの改善」をオフにする
使い始める前に、ひとつだけ設定を変えておくのがおすすめです。
左下の「≡」から設定を開く
「データコントロール」を開く
「AIモデルの改善に協力する」をオフにする
このスイッチは、Museとのやり取りをMetaがAIの開発に使うことを許可するものです。私のアカウントでは最初からオンになっていました。メールや予定を扱わせるなら、先にオフにしておくと安心です。

同じ画面には、ほかのAIで使っていた記憶を取り込む「メモリーをインポート」や、データをすべて消す「Museをリセット」もあります。
カレンダー・メール・Slackを任せてみた
GmailとGoogleカレンダーは、Museに勧められるままボタンを押すだけでつながりました。そこから、「読む」「書き込む」「外に送る」の3つを順に試しました。
予定の確認と追加:確認なしですぐ入った
「今週の予定を確認して、空いている時間を教えて」と頼むと、予定を日ごとにまとめ、金曜に予定が重なっていることまで指摘してくれました。
続いて「7日(土)の10時から30分、『Muse検証』という予定を入れて」と頼むと、返事は「入れました。」の一言だけ。Googleカレンダーを開くと、日時もタイトルも指示どおりに入っていました。

メールの送信:確認が2段階あった
次に、自分の別のアドレス宛てにメールを送ってもらいました。こちらは予定の追加と違い、すぐには送られませんでした。
Museがチャットで「この内容で送ってよいですか?」と宛先・件名・本文を見せる
「送って」と答えると、さらに「MuseにGmailでこのメールを送信を許可しますか?」という別のカードが出る
「送信」を押してはじめて送られる

ちなみに、私は最初に宛先のアドレスを間違えました。「間違えた」と一言送ると、Museは正しいアドレスに直した上で「先ほどのメールは送り済みなので、改めて送る形になります」と、取り消せないことも正直に伝えてきました。
届いたメールを見ると、差出人は自分のアドレスだけで、AIが送ったと分かる表示はどこにもありませんでした。受け取った側からは、本人が送ったメールと区別がつきません。許可のカードで中身をよく見てから押すのが大事です。
Slack:一覧になくても、頼むとつながった
設定の「コネクター」一覧にはSlackが見当たりませんでしたが、チャットで「Slackとつなげることはできる?」と聞くと、接続のカードを出してきました。
「最近自分宛てに来たメンションをまとめて」と頼むと、5件のメンションを「日時・チャンネル・送った人・依頼の要点」の形でまとめてくれました。Slackの画面と見比べると、5件とも正確で、抜けもありませんでした。「公開チャンネルだけを調べた」と、調べた範囲を自分から書いていたのも好印象です。
ただ、会社のSlackやGmailをつなぐと、社内のやり取りをMuse(Metaのクラウド)で読ませることになります。仕事で使う場合は、会社のルールを先に確認しておきましょう。

まとめると、自分のカレンダーだけに関わる操作は確認なしで、他人に届く操作は確認あり、という分け方に見えます(2日間の結果からの推測です)。
頼まなくても知らせてくれる「先回り」の正体
ここまでの「探す」「まとめる」は、正直に言うとほかのAIでもできます。検証の途中でも「こんなん、ClaudeやGeminiでもできることっぽい」と感じました。Museらしさが出たのは、何も頼んでいないのに、向こうから連絡が来た場面です。
実際に届いた3つの連絡
会議の出欠の返事忘れ:夜の予定で自分だけ出欠が未回答だと気づき、開始18分前に「まだ出欠が未回答です」と知らせてきました。「参加します」のボタンを押すと、カレンダーの返事まで済みました
期限のあるメール:「数時間で回答できなくなる」という内容のメールを拾って、夜に知らせてきました
Slackのメンション:夜に来たメンションを、翌朝7時15分に知らせてきました

理由を聞くと、「他の参加者は参加予定で、開始を過ぎると出欠の意味がなくなるので知らせた」「送る前にカレンダーを見直して、まだ未回答なのを確かめた」と答えてくれました。
どの仕組みが知らせていたのか
最初は「30分ごとのHeartbeatが見回っているのだろう」と思っていました。ところがMuseに聞いてみると、答えは違いました。
Heartbeat(30分ごと):「HEARTBEAT.md」というファイルに書かれたチェック項目を実行する仕組み。初期状態ではファイルが空っぽで、実は何もしていませんでした
先回り通知の仕組み:予定の一覧には出てこない、Metaが用意した裏側の仕組み。ほぼ1時間ごとにカレンダー・メール・Slackをまとめて見て「知らせる候補」を作り、Museが「送る/後回し/送らない」を選びます。さっきの3つは、すべてこちらでした
予約タスク:「毎朝8時ごろに予定をまとめて」のように、時刻を決めて動かすもの

予定中は後回しにする気配りも
記録を詳しく聞くと、期限のあるメールの連絡は19時11分に準備できていたのに、届いたのは21時1分でした。「19時〜21時は予定中だったので、終わってから送るように後回しにした」そうです。
一方で、翌日の会議の出欠が未回答だった件は、3回も候補にしながら、結局一度も知らせずに落としていました。何を知らせて何を知らせないかは、AIの判断次第です。
2日目は、朝を最後に動かなくなった
さらに、この先回り通知は2日目の朝7時14分を最後に、記録が途切れました。試しに「明日の15時までに資料を送ってほしい」というテストのメールを送ってみましたが、夕方になっても知らせは来ません。利用上限はまだ7%しか使っておらず、理由はわかりませんでした。「もうこれは動かないんじゃない?」というのが、そのときの正直な感想です。
HEARTBEAT.mdに1行書くと、きちんと見回り始めた
そこで、空っぽだったHEARTBEAT.mdに、見てほしいことを書き足してみました。ファイルを自分で開く必要はなく、チャットで頼むだけです。
(この節の画面でアバターが魚になっているのは、記事の最後に紹介する「アバターの変更」をしたあとに撮った画面だからです。)
実際に送った文面はこちらです。
HEARTBEAT.mdに次の2つを追加して。平日の9時〜19時だけ確認して、該当するものがあったときだけ知らせて。 ・Slackで自分宛てのメンションやDMが来ていて、まだ返事をしていないもの ・Gmailに、期限がある依頼や返事が必要なメールが届いているもの

1つだけつまずいたのは、ファイルに「1行に1項目ずつ書く」という説明があるのに、Museが2つの項目を1行につなげて書いたことです。指摘するとすぐに直したので、書き込んだあとは中身を見せてもらうのがおすすめです。
設定した3分後に、ちゃんと知らせてきた
設定した直後の17時32分のHeartbeatで、さっきは拾われなかったテストのメールを拾ってきました。
「明日の15時まで」を「11月6日(金)15:00」と日付に直して、期限として伝えてきた
テスト以外にも、年末調整の入力依頼など、本当に対応が必要なメールを拾った
Slackは「今日のメンション6件は、すべて返信かリアクション済み」と判断して、知らせなかった
次の18時2分のHeartbeatでは、同じ件を繰り返して知らせてくることはありませんでした。新しいものが来たときだけ知らせてくれるので、通知がうるさくなる心配は少なそうです。


ちなみに、「知らせてほしいこと」「知らせてほしくないこと」を書く「PROACTIVE_PREFERENCES.md」というファイルもあります。こちらはMetaの先回り通知への「希望」を伝えるもので、確実に見てほしいことはHEARTBEAT.mdに書く方が安心です。
ホテル探しと買い物も任せてみた
Museのトップ画面にもある「代行」も試しました。こちらは便利な反面、注意点もたくさん見つかりました。
ホテル探し:最初は米ドル表示だった
「12月の土曜日に、大阪・梅田で1泊2名、1万円台のホテルを3つ探して。予約はしないで」と頼むと、まず「12月の土曜日は4回あります。どれにしますか?」と日付を聞いてきました。あいまいなところを勝手に決めないのは、うれしいところです。
ただ、最初の結果は海外向けのExpediaからで、料金は米ドル表示。円はMuseが自分で換算した金額でした。日本のExpediaで同じ条件を調べると、税込みの合計では「一番安い」とされたホテルより、別のホテルの方が約700円安い状態でした。
「日本向けにして」と覚えさせると、次から守ってくれた
そこで、次のように覚えさせました。
これから覚えておいて。私は日本に住んでいるので、料金は日本円の税込み合計で出して。ホテルや買い物は、日本のサイトやサービスを優先して探して
するとMuseは、自分のブラウザーで楽天トラベルとじゃらんを開いて探し直しました。Museがブラウザーを動かしている様子は、画面でそのまま見られます。

今度は日本円・税込みの合計で、無料キャンセルの期限や、現地でかかる大阪府の宿泊税まで教えてくれました。この好みは別のチャットでも効いていて、忘年会のお店探しでは何も言わなくてもホットペッパーから円で探してきました。
ただし、楽天トラベルのリンクを開くと、米国向けの英語版(ドル表示)でした。日本版で調べ直してもらうと、日本版にだけある早割プランが約3,400円安く見つかりました。予約の前には、リンク先の言語と通貨を必ず確かめましょう。
買い物:カートに入れて、ログインの手前で止まる
「1万円以下のワイヤレスイヤホンを比べて」と頼むと、楽天市場から3つを選んできました。しかし「1万円以下でもノイズキャンセリング付きがそろっている」と説明した中に、ノイズキャンセリングに対応していない機種が入っていました。指摘すると公式ページで確かめて認め、重さの間違いまで自分で直しましたが、指摘しなければ間違ったままでした。
そのまま「買って」と頼むと、こう動きました。
カートに入れて、送料込みの合計と配送の目安を確認する
色の指定がなかったので「ブラックを選びました」と報告する
楽天のログイン画面で止まり、「ここからご自身で注文を確定してください」と人に返す
Museはカード情報や住所を持っておらず、ログイン・支払い・注文の確定は自分でやる形です。勝手に買われる心配はありませんでした。

使ってみて気になった点
初期状態の先回りは不安定:1日目は1時間ごとに動いていましたが、2日目は朝7時台を最後に止まり、理由はわかりませんでした
夜は知らせが来ない:知らせが届くのは6時30分~21時30分で、夜に来たSlackのメンションは翌朝にまとめて届きました。「来た瞬間に知らせる」使い方には向きません
日本語化がところどころ抜けている:予定の一覧が「scheduled tasks」、設定ファイルの説明や一部のメッセージが英語のままでした
海外向けの情報が混ざる:料金が米ドルで出る、楽天トラベルが米国版になる、買い物の配送日が東京宛てで表示される、といった場面がありました
商品の説明を間違えることがある:値段や在庫は正確でも、機能の説明は公式ページで確かめるのが安心です
AIが送ったメールだと分からない:送信前の確認カードで、宛先と本文をよく見てから押しましょう
なお、無料プランの利用上限は、ホテル探しや買い物でブラウザーをかなり使っても、2日間で7%しか減りませんでした。普通に使う分には十分です。
おまけ:見た目も会話で変えられる
Museのキャラクター(アバター)は、会話だけで作り直せます。用意された候補は犬やレッサーパンダで、正直「どれも微妙やな」という印象。「水族館にいる系の動物がいい」→「ナポレオンフィッシュをモチーフにして」と絞り込むと、おでこのこぶや厚いくちびるまで再現したキャラを作ってくれました。
作業中はそのキャラがヘッドホンをつけてパソコンを打つ姿に変わり、動きます。「ちゃんとヘッドホンしてパソコン打ってるわ」と、思わず笑ってしまいました。

よくある質問
Q. MetaのMuseは日本で使えますか? はい。2026年10月23日から日本で提供されています。iPhone・Androidのアプリと、ブラウザーのmuse.aiから使えます。
Q. 料金はかかりますか? 基本機能は無料で、1週間ごとの利用上限があります。今回の2日間の検証で使ったのは、上限の7%でした。
Q. 何も設定しなくても先回りしてくれますか? Metaが用意した仕組みで、出欠の返事忘れや期限のあるメールを知らせてくれることはあります。ただし知らせるかどうかはAIの判断次第で、動かない時間もありました。確実に見てほしいことは、HEARTBEAT.mdに書くのがおすすめです。
Q. HEARTBEAT.mdはどうやって編集しますか? チャットで「HEARTBEAT.mdに〇〇を追加して。追加したら中身を見せて」と頼むだけです。30分ごとに、書かれた項目を確認してくれます。
Q. 勝手にメールを送ったり買い物をしたりしませんか? 今回の検証では、メール送信の前には必ず許可のカードが出ました。買い物もログインの手前で止まり、支払いと注文の確定は自分で行う形でした。ただし、自分のカレンダーへの予定追加は確認なしで実行されます。
Q. Slackはつなげられますか? 設定の一覧には出ていませんでしたが、チャットで「Slackとつなげることはできる?」と聞くと接続できました。会社のSlackの場合は、社内のルールを確認してからにしましょう。
まとめ
Museは、「探して」「まとめて」と頼むだけなら、ほかのAIと大きな差はありません。他と違うのは、アプリを閉じていても見回りを続けて、気になることを向こうから知らせてくれるところです。
使いこなすコツは3つです。
最初に「AIモデルの改善に協力する」をオフにする
見てほしいことは、会話でHEARTBEAT.mdに書いてもらう
料金は「日本円の税込みで」と覚えさせ、予約や購入の前にはリンク先を自分で確かめる
「秘書に仕事の任せ方を教える」感覚で使うと、ちょうどよいAIでした。無料で試せるので、予定やメールの管理に困っている方は一度触ってみてください。
参考
結論から言うと、Metaの「Muse(ミューズ)」の一番の持ち味は、頼まなくても、気になることを先に知らせてくれるところでした。
日本でも無料で使えて、Gmail・Googleカレンダー・Slackとつなぐと、「会議の出欠をまだ返していませんよ」「期限のあるメールが届いていますよ」と、自分から声をかけてきました。
ただし、何も設定しない状態の「先回り」はMeta任せで、知らせるかどうかもAIが自分で選びます。私の環境では、2日目の朝7時台を最後に動かなくなりました。
そこで「HEARTBEAT.md」という設定ファイルに、見てほしいことを会話で書き足すと、30分ごとにきちんと見回ってくれるようになりました。Museは、自分で「何を見てほしいか」を伝えてはじめて本領を発揮するAIです。
ホテル探しや買い物の代行も試しましたが、こちらはほかのAIでもできる範囲です。料金が米ドルで出る、商品の機能を間違えるといった注意点もありました。
この記事では、実際に2日間使ってわかったことを、画面をまじえて順番に紹介します。
Meta「Muse」とは?
Museは、Meta(FacebookやInstagramの会社)が提供している「パーソナルAIエージェント」です。質問に答えるだけのチャットAIと違い、メールの送信や予定の追加、ネットでの調べものなどを、人の代わりに実際にやってくれます。
日本での提供:2026年10月23日に日本での提供が始まりました。北米以外では最初の地域です(Metaの発表)
使える場所:iPhone・Androidのアプリと、ブラウザーの muse.ai
料金:基本機能は無料。1週間ごとの利用上限があります
特徴:Muse専用のコンピューター(クラウド上)で動くので、アプリを閉じている間も作業を続けられます
同じような「常に動いているAI」には、OpenAIの「dots」やAnthropicの「Claude Duet」もあります。ただ、dotsは月額の有料プランが必要で、Claude Duetは今のところ米国限定です。日本から無料ですぐ試せるのは、この中ではMuseです。

トップ画面はすべて日本語で、見出しの後半が「タスクを代行」「買い物を代行」と切り替わる作りでした。この時点で、「個人の用事を任せるAI」という方向性がはっきり伝わってきます。
始め方と、最初にやっておきたい設定
登録は、muse.aiで携帯電話番号かメールアドレスを入れるだけです。ログインすると、Museが「私を何と呼んでほしいですか?」と名前の候補を出してきます。

画面の右側を見ると、登録したばかりなのに予定タスクが2つ入っています。30分ごとに動く「Heartbeat(ハートビート)」と、毎朝使い方のコツを教えてくれる「Agentic feature tour」です。このHeartbeatが、あとで大事な意味を持ってきます。
最初に「AIモデルの改善」をオフにする
使い始める前に、ひとつだけ設定を変えておくのがおすすめです。
左下の「≡」から設定を開く
「データコントロール」を開く
「AIモデルの改善に協力する」をオフにする
このスイッチは、Museとのやり取りをMetaがAIの開発に使うことを許可するものです。私のアカウントでは最初からオンになっていました。メールや予定を扱わせるなら、先にオフにしておくと安心です。

同じ画面には、ほかのAIで使っていた記憶を取り込む「メモリーをインポート」や、データをすべて消す「Museをリセット」もあります。
カレンダー・メール・Slackを任せてみた
GmailとGoogleカレンダーは、Museに勧められるままボタンを押すだけでつながりました。そこから、「読む」「書き込む」「外に送る」の3つを順に試しました。
予定の確認と追加:確認なしですぐ入った
「今週の予定を確認して、空いている時間を教えて」と頼むと、予定を日ごとにまとめ、金曜に予定が重なっていることまで指摘してくれました。
続いて「7日(土)の10時から30分、『Muse検証』という予定を入れて」と頼むと、返事は「入れました。」の一言だけ。Googleカレンダーを開くと、日時もタイトルも指示どおりに入っていました。

メールの送信:確認が2段階あった
次に、自分の別のアドレス宛てにメールを送ってもらいました。こちらは予定の追加と違い、すぐには送られませんでした。
Museがチャットで「この内容で送ってよいですか?」と宛先・件名・本文を見せる
「送って」と答えると、さらに「MuseにGmailでこのメールを送信を許可しますか?」という別のカードが出る
「送信」を押してはじめて送られる

ちなみに、私は最初に宛先のアドレスを間違えました。「間違えた」と一言送ると、Museは正しいアドレスに直した上で「先ほどのメールは送り済みなので、改めて送る形になります」と、取り消せないことも正直に伝えてきました。
届いたメールを見ると、差出人は自分のアドレスだけで、AIが送ったと分かる表示はどこにもありませんでした。受け取った側からは、本人が送ったメールと区別がつきません。許可のカードで中身をよく見てから押すのが大事です。
Slack:一覧になくても、頼むとつながった
設定の「コネクター」一覧にはSlackが見当たりませんでしたが、チャットで「Slackとつなげることはできる?」と聞くと、接続のカードを出してきました。
「最近自分宛てに来たメンションをまとめて」と頼むと、5件のメンションを「日時・チャンネル・送った人・依頼の要点」の形でまとめてくれました。Slackの画面と見比べると、5件とも正確で、抜けもありませんでした。「公開チャンネルだけを調べた」と、調べた範囲を自分から書いていたのも好印象です。
ただ、会社のSlackやGmailをつなぐと、社内のやり取りをMuse(Metaのクラウド)で読ませることになります。仕事で使う場合は、会社のルールを先に確認しておきましょう。

まとめると、自分のカレンダーだけに関わる操作は確認なしで、他人に届く操作は確認あり、という分け方に見えます(2日間の結果からの推測です)。
頼まなくても知らせてくれる「先回り」の正体
ここまでの「探す」「まとめる」は、正直に言うとほかのAIでもできます。検証の途中でも「こんなん、ClaudeやGeminiでもできることっぽい」と感じました。Museらしさが出たのは、何も頼んでいないのに、向こうから連絡が来た場面です。
実際に届いた3つの連絡
会議の出欠の返事忘れ:夜の予定で自分だけ出欠が未回答だと気づき、開始18分前に「まだ出欠が未回答です」と知らせてきました。「参加します」のボタンを押すと、カレンダーの返事まで済みました
期限のあるメール:「数時間で回答できなくなる」という内容のメールを拾って、夜に知らせてきました
Slackのメンション:夜に来たメンションを、翌朝7時15分に知らせてきました

理由を聞くと、「他の参加者は参加予定で、開始を過ぎると出欠の意味がなくなるので知らせた」「送る前にカレンダーを見直して、まだ未回答なのを確かめた」と答えてくれました。
どの仕組みが知らせていたのか
最初は「30分ごとのHeartbeatが見回っているのだろう」と思っていました。ところがMuseに聞いてみると、答えは違いました。
Heartbeat(30分ごと):「HEARTBEAT.md」というファイルに書かれたチェック項目を実行する仕組み。初期状態ではファイルが空っぽで、実は何もしていませんでした
先回り通知の仕組み:予定の一覧には出てこない、Metaが用意した裏側の仕組み。ほぼ1時間ごとにカレンダー・メール・Slackをまとめて見て「知らせる候補」を作り、Museが「送る/後回し/送らない」を選びます。さっきの3つは、すべてこちらでした
予約タスク:「毎朝8時ごろに予定をまとめて」のように、時刻を決めて動かすもの

予定中は後回しにする気配りも
記録を詳しく聞くと、期限のあるメールの連絡は19時11分に準備できていたのに、届いたのは21時1分でした。「19時〜21時は予定中だったので、終わってから送るように後回しにした」そうです。
一方で、翌日の会議の出欠が未回答だった件は、3回も候補にしながら、結局一度も知らせずに落としていました。何を知らせて何を知らせないかは、AIの判断次第です。
2日目は、朝を最後に動かなくなった
さらに、この先回り通知は2日目の朝7時14分を最後に、記録が途切れました。試しに「明日の15時までに資料を送ってほしい」というテストのメールを送ってみましたが、夕方になっても知らせは来ません。利用上限はまだ7%しか使っておらず、理由はわかりませんでした。「もうこれは動かないんじゃない?」というのが、そのときの正直な感想です。
HEARTBEAT.mdに1行書くと、きちんと見回り始めた
そこで、空っぽだったHEARTBEAT.mdに、見てほしいことを書き足してみました。ファイルを自分で開く必要はなく、チャットで頼むだけです。
(この節の画面でアバターが魚になっているのは、記事の最後に紹介する「アバターの変更」をしたあとに撮った画面だからです。)
実際に送った文面はこちらです。
HEARTBEAT.mdに次の2つを追加して。平日の9時〜19時だけ確認して、該当するものがあったときだけ知らせて。 ・Slackで自分宛てのメンションやDMが来ていて、まだ返事をしていないもの ・Gmailに、期限がある依頼や返事が必要なメールが届いているもの

1つだけつまずいたのは、ファイルに「1行に1項目ずつ書く」という説明があるのに、Museが2つの項目を1行につなげて書いたことです。指摘するとすぐに直したので、書き込んだあとは中身を見せてもらうのがおすすめです。
設定した3分後に、ちゃんと知らせてきた
設定した直後の17時32分のHeartbeatで、さっきは拾われなかったテストのメールを拾ってきました。
「明日の15時まで」を「11月6日(金)15:00」と日付に直して、期限として伝えてきた
テスト以外にも、年末調整の入力依頼など、本当に対応が必要なメールを拾った
Slackは「今日のメンション6件は、すべて返信かリアクション済み」と判断して、知らせなかった
次の18時2分のHeartbeatでは、同じ件を繰り返して知らせてくることはありませんでした。新しいものが来たときだけ知らせてくれるので、通知がうるさくなる心配は少なそうです。


ちなみに、「知らせてほしいこと」「知らせてほしくないこと」を書く「PROACTIVE_PREFERENCES.md」というファイルもあります。こちらはMetaの先回り通知への「希望」を伝えるもので、確実に見てほしいことはHEARTBEAT.mdに書く方が安心です。
ホテル探しと買い物も任せてみた
Museのトップ画面にもある「代行」も試しました。こちらは便利な反面、注意点もたくさん見つかりました。
ホテル探し:最初は米ドル表示だった
「12月の土曜日に、大阪・梅田で1泊2名、1万円台のホテルを3つ探して。予約はしないで」と頼むと、まず「12月の土曜日は4回あります。どれにしますか?」と日付を聞いてきました。あいまいなところを勝手に決めないのは、うれしいところです。
ただ、最初の結果は海外向けのExpediaからで、料金は米ドル表示。円はMuseが自分で換算した金額でした。日本のExpediaで同じ条件を調べると、税込みの合計では「一番安い」とされたホテルより、別のホテルの方が約700円安い状態でした。
「日本向けにして」と覚えさせると、次から守ってくれた
そこで、次のように覚えさせました。
これから覚えておいて。私は日本に住んでいるので、料金は日本円の税込み合計で出して。ホテルや買い物は、日本のサイトやサービスを優先して探して
するとMuseは、自分のブラウザーで楽天トラベルとじゃらんを開いて探し直しました。Museがブラウザーを動かしている様子は、画面でそのまま見られます。

今度は日本円・税込みの合計で、無料キャンセルの期限や、現地でかかる大阪府の宿泊税まで教えてくれました。この好みは別のチャットでも効いていて、忘年会のお店探しでは何も言わなくてもホットペッパーから円で探してきました。
ただし、楽天トラベルのリンクを開くと、米国向けの英語版(ドル表示)でした。日本版で調べ直してもらうと、日本版にだけある早割プランが約3,400円安く見つかりました。予約の前には、リンク先の言語と通貨を必ず確かめましょう。
買い物:カートに入れて、ログインの手前で止まる
「1万円以下のワイヤレスイヤホンを比べて」と頼むと、楽天市場から3つを選んできました。しかし「1万円以下でもノイズキャンセリング付きがそろっている」と説明した中に、ノイズキャンセリングに対応していない機種が入っていました。指摘すると公式ページで確かめて認め、重さの間違いまで自分で直しましたが、指摘しなければ間違ったままでした。
そのまま「買って」と頼むと、こう動きました。
カートに入れて、送料込みの合計と配送の目安を確認する
色の指定がなかったので「ブラックを選びました」と報告する
楽天のログイン画面で止まり、「ここからご自身で注文を確定してください」と人に返す
Museはカード情報や住所を持っておらず、ログイン・支払い・注文の確定は自分でやる形です。勝手に買われる心配はありませんでした。

使ってみて気になった点
初期状態の先回りは不安定:1日目は1時間ごとに動いていましたが、2日目は朝7時台を最後に止まり、理由はわかりませんでした
夜は知らせが来ない:知らせが届くのは6時30分~21時30分で、夜に来たSlackのメンションは翌朝にまとめて届きました。「来た瞬間に知らせる」使い方には向きません
日本語化がところどころ抜けている:予定の一覧が「scheduled tasks」、設定ファイルの説明や一部のメッセージが英語のままでした
海外向けの情報が混ざる:料金が米ドルで出る、楽天トラベルが米国版になる、買い物の配送日が東京宛てで表示される、といった場面がありました
商品の説明を間違えることがある:値段や在庫は正確でも、機能の説明は公式ページで確かめるのが安心です
AIが送ったメールだと分からない:送信前の確認カードで、宛先と本文をよく見てから押しましょう
なお、無料プランの利用上限は、ホテル探しや買い物でブラウザーをかなり使っても、2日間で7%しか減りませんでした。普通に使う分には十分です。
おまけ:見た目も会話で変えられる
Museのキャラクター(アバター)は、会話だけで作り直せます。用意された候補は犬やレッサーパンダで、正直「どれも微妙やな」という印象。「水族館にいる系の動物がいい」→「ナポレオンフィッシュをモチーフにして」と絞り込むと、おでこのこぶや厚いくちびるまで再現したキャラを作ってくれました。
作業中はそのキャラがヘッドホンをつけてパソコンを打つ姿に変わり、動きます。「ちゃんとヘッドホンしてパソコン打ってるわ」と、思わず笑ってしまいました。

よくある質問
Q. MetaのMuseは日本で使えますか? はい。2026年10月23日から日本で提供されています。iPhone・Androidのアプリと、ブラウザーのmuse.aiから使えます。
Q. 料金はかかりますか? 基本機能は無料で、1週間ごとの利用上限があります。今回の2日間の検証で使ったのは、上限の7%でした。
Q. 何も設定しなくても先回りしてくれますか? Metaが用意した仕組みで、出欠の返事忘れや期限のあるメールを知らせてくれることはあります。ただし知らせるかどうかはAIの判断次第で、動かない時間もありました。確実に見てほしいことは、HEARTBEAT.mdに書くのがおすすめです。
Q. HEARTBEAT.mdはどうやって編集しますか? チャットで「HEARTBEAT.mdに〇〇を追加して。追加したら中身を見せて」と頼むだけです。30分ごとに、書かれた項目を確認してくれます。
Q. 勝手にメールを送ったり買い物をしたりしませんか? 今回の検証では、メール送信の前には必ず許可のカードが出ました。買い物もログインの手前で止まり、支払いと注文の確定は自分で行う形でした。ただし、自分のカレンダーへの予定追加は確認なしで実行されます。
Q. Slackはつなげられますか? 設定の一覧には出ていませんでしたが、チャットで「Slackとつなげることはできる?」と聞くと接続できました。会社のSlackの場合は、社内のルールを確認してからにしましょう。
まとめ
Museは、「探して」「まとめて」と頼むだけなら、ほかのAIと大きな差はありません。他と違うのは、アプリを閉じていても見回りを続けて、気になることを向こうから知らせてくれるところです。
使いこなすコツは3つです。
最初に「AIモデルの改善に協力する」をオフにする
見てほしいことは、会話でHEARTBEAT.mdに書いてもらう
料金は「日本円の税込みで」と覚えさせ、予約や購入の前にはリンク先を自分で確かめる
「秘書に仕事の任せ方を教える」感覚で使うと、ちょうどよいAIでした。無料で試せるので、予定やメールの管理に困っている方は一度触ってみてください。
参考


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