GPT-Liveは会議中、黙って聞いていられるか|指示書を書き直して3人の会議で試した結果

GPT-Liveは会議中、黙って聞いていられるか|指示書を書き直して3人の会議で試した結果

結論から先に

前回、ChatGPTの音声AIをGoogle Meetに参加者として同席させたところ、「静かにしていてください」とお願いしても相槌を打ってしまうという問題にぶつかりました。

そこで今回は、指示書を一から書き直して、もう一度3人の会議で試してみました。

結果を先にお伝えします。

世間話は止められました。 会議の冒頭に「今って何時ごろですか?」と話しかけてくる、あの余計なひと言は完全に消えました。指示は、ちゃんと届いています。

でも、黙ってはくれませんでした。 しかも今回分かったのは、これが「おしゃべりだから」ではないということです。AIは、その言葉が自分に向けられたものかどうかを判断できていません。 だから人間同士の会話にまで反応してしまう。

3人で会議をしていると、こんなことが起きます。私が別の参加者に「お願いします」と振っただけで、AIが自分が指名されたと思って司会を始めてしまうんです。

つまり、このAIは1対1の会話を前提に作られているのだと思います。会議に3人以上いる状況は、たぶん想定の外です。

以下、実際のやりとりを動画も交えて、そのまま正直に書いていきます。

前回の宿題

前回の記事で、私はこんな仮説を立てました。

AIは「発言」と「相槌」を別のものだと解釈しているのではないか

こちらが書いた指示は「発言しないでください」でした。AIはそれを「意味のある内容を話さない」と受け取っていて、「ふんふん」「なるほど」といった短い反応は、そもそも発言に入っていないつもりなのではないか、と考えたわけです。

だとすれば、対策は簡単です。「相槌も発言です」と、はっきり書けばいい。

今回はそれを確かめました。

実際に書いた指示書(全文)

ChatGPTには「プロジェクト」という機能があり、そこに書いた指示が、そのプロジェクト内の会話すべてに適用されます。今回、そこに入れた文章がこちらです。


書きながら「ここまで書かないとダメなのか」と思いましたが、実際、ここまで書いてやっと半分効きました

ポイントは3つです。

①「相槌も発言です」を独立した項目にした 前回の失敗の核心はここでした。具体例を並べて、逃げ道を塞いでいます。

②「会議の開始時」の項目を足した 「今って何時ごろですか?」を封じるためです。

③「返事も含めて」と書いた 前回、「黙って」とお願いすると「わかりました」と返事をしてから黙る、ということがありました。その返事すら要らないので、明記しています。

検証:3人の定例会議に同席させた

参加者は人間2人とAI1人。いつもの社内の定例ミーティングです。

出だしは、とても良かった


世間話はゼロでした。 前回のように時刻を尋ねてくることもありません。ここまでは完璧です。

数秒後、司会を奪われました

そして会議が始まります。ファシリの前田さんが私に話を振りました。


AIが司会を始めてしまいました。

たった数秒前に「静かに待機します」と言ったばかりです。しかも、これは相槌ではありません。会議の進行役を、自分の役割だと思って引き受けてしまったんです。

原因は、たぶんこれです。私が言った「お願いします」という言葉を、自分への呼びかけだと判断した。名前を呼んでいないのに、です。

3回言い直しました


「一言も話さないでください」に対して、毎回きちんと返事をしてくれます。

指示書には「返事も含めて何も言わないでください」と書いてあります。それでも、返事はします。

最終的に、マイクを切りました。

分かったこと:おしゃべりなのではなく、宛先が分かっていない

ここまでのやりとりを見返して、私の見方が変わりました。

前回まで、私はこれを「AIがおしゃべりすぎる問題」だと思っていました。でも違います。

このAIは、聞こえてくる言葉が「自分に向けられたものかどうか」を判断していません。

聞こえた発話は、すべて自分宛てとして処理する。だから「お願いします」に反応するし、人間同士の会話にも相槌を打つ。

1対1なら、これで何の問題もありません。 相手の言葉は全部自分宛てなので、判断する必要すらないからです。

実際、前回の記事で私はこう書いていました。

相槌を自然に挟んでくる。普段使っているWeb会議より話しやすいと感じた

あれは1対1で試したときの感想です。同じ性質が、3人になった瞬間に破綻した。 人数という変数が、評価をまるごとひっくり返してしまったわけです。

ちなみに、マイクを切っても喋っています

もうひとつ気づいたことがあります。

会議の途中で、AI参加者側のMeet画面を開いて、そのマイクをミュートにしました

会議室は静かになります。でもあとからChatGPT側の履歴を見ると、その間もずっと相槌を打ち続けていました。

マイクを切るというのは「AIの声が会議に流れなくなる」だけです。

議事録:形にはなる、でも混ざる

会議の最後に、議事録をお願いしました。

出てきたものは、たしかに議事録の形をしていました。決定事項があり、担当者つきのタスクがあり、保留事項まで並んでいます。会議で実際に話した内容も、ちゃんと入っています。

ただ、会議で一度も話していない項目が紛れ込んでいました。

具体的には、このツールのセットアップ中に出てきた技術用語が、そのままタスクの一つとして議事録に載っていたんです。その日の会議とはまったく関係のない話です。

これは精度以前の問題です。「拾いきれていない」なら人が足せばいいですが、「話していないことが載る」となると、読んだ人が誤解します。そのまま共有するのは危険ということになります。

心当たりはあります

ChatGPTのプロジェクト設定には「メモリ」という項目があって、初期状態では「プロジェクト外のチャットのメモリにもアクセスできる」となっています。

つまり、別の会話で話した内容を覚えていて、それを今日の会議の議事録に混ぜてしまった可能性があります。

これは次回、設定を変えて確かめてみます。

いまのところの結論

用途によって、向き不向きがはっきり分かれます。

使い方

相性

1対1の通話(電話の一次対応など)

◎ 全二重の良さが活きる

人間が2人以上いる会議にAIを同席させる

× 構造的に厳しい

「クライアントとの会議に同席させて、最後にAIが締める」という使い方をイメージしていましたが、そういう会議はたいてい3人以上です。用途と設計が、根本的にずれていたことになります。

一方で、1対1なら本当に自然に話せます。これは前回の記事で実感したとおりです。問い合わせの一次受けのような使い方なら、じゅうぶん現実味があります。

「会議AI」ではなく「対話AI」として見れば、評価は全然違ってくるということですね。


この記事で使ったもの

  • Meetron(meeting-copilot)/ GPL v3 / macOS専用

  • ChatGPT 無料プラン(音声モード・GPT-Live)

  • Google Meet

  • MacBook Air(Apple Silicon)

結論から先に

前回、ChatGPTの音声AIをGoogle Meetに参加者として同席させたところ、「静かにしていてください」とお願いしても相槌を打ってしまうという問題にぶつかりました。

そこで今回は、指示書を一から書き直して、もう一度3人の会議で試してみました。

結果を先にお伝えします。

世間話は止められました。 会議の冒頭に「今って何時ごろですか?」と話しかけてくる、あの余計なひと言は完全に消えました。指示は、ちゃんと届いています。

でも、黙ってはくれませんでした。 しかも今回分かったのは、これが「おしゃべりだから」ではないということです。AIは、その言葉が自分に向けられたものかどうかを判断できていません。 だから人間同士の会話にまで反応してしまう。

3人で会議をしていると、こんなことが起きます。私が別の参加者に「お願いします」と振っただけで、AIが自分が指名されたと思って司会を始めてしまうんです。

つまり、このAIは1対1の会話を前提に作られているのだと思います。会議に3人以上いる状況は、たぶん想定の外です。

以下、実際のやりとりを動画も交えて、そのまま正直に書いていきます。

前回の宿題

前回の記事で、私はこんな仮説を立てました。

AIは「発言」と「相槌」を別のものだと解釈しているのではないか

こちらが書いた指示は「発言しないでください」でした。AIはそれを「意味のある内容を話さない」と受け取っていて、「ふんふん」「なるほど」といった短い反応は、そもそも発言に入っていないつもりなのではないか、と考えたわけです。

だとすれば、対策は簡単です。「相槌も発言です」と、はっきり書けばいい。

今回はそれを確かめました。

実際に書いた指示書(全文)

ChatGPTには「プロジェクト」という機能があり、そこに書いた指示が、そのプロジェクト内の会話すべてに適用されます。今回、そこに入れた文章がこちらです。


書きながら「ここまで書かないとダメなのか」と思いましたが、実際、ここまで書いてやっと半分効きました

ポイントは3つです。

①「相槌も発言です」を独立した項目にした 前回の失敗の核心はここでした。具体例を並べて、逃げ道を塞いでいます。

②「会議の開始時」の項目を足した 「今って何時ごろですか?」を封じるためです。

③「返事も含めて」と書いた 前回、「黙って」とお願いすると「わかりました」と返事をしてから黙る、ということがありました。その返事すら要らないので、明記しています。

検証:3人の定例会議に同席させた

参加者は人間2人とAI1人。いつもの社内の定例ミーティングです。

出だしは、とても良かった


世間話はゼロでした。 前回のように時刻を尋ねてくることもありません。ここまでは完璧です。

数秒後、司会を奪われました

そして会議が始まります。ファシリの前田さんが私に話を振りました。


AIが司会を始めてしまいました。

たった数秒前に「静かに待機します」と言ったばかりです。しかも、これは相槌ではありません。会議の進行役を、自分の役割だと思って引き受けてしまったんです。

原因は、たぶんこれです。私が言った「お願いします」という言葉を、自分への呼びかけだと判断した。名前を呼んでいないのに、です。

3回言い直しました


「一言も話さないでください」に対して、毎回きちんと返事をしてくれます。

指示書には「返事も含めて何も言わないでください」と書いてあります。それでも、返事はします。

最終的に、マイクを切りました。

分かったこと:おしゃべりなのではなく、宛先が分かっていない

ここまでのやりとりを見返して、私の見方が変わりました。

前回まで、私はこれを「AIがおしゃべりすぎる問題」だと思っていました。でも違います。

このAIは、聞こえてくる言葉が「自分に向けられたものかどうか」を判断していません。

聞こえた発話は、すべて自分宛てとして処理する。だから「お願いします」に反応するし、人間同士の会話にも相槌を打つ。

1対1なら、これで何の問題もありません。 相手の言葉は全部自分宛てなので、判断する必要すらないからです。

実際、前回の記事で私はこう書いていました。

相槌を自然に挟んでくる。普段使っているWeb会議より話しやすいと感じた

あれは1対1で試したときの感想です。同じ性質が、3人になった瞬間に破綻した。 人数という変数が、評価をまるごとひっくり返してしまったわけです。

ちなみに、マイクを切っても喋っています

もうひとつ気づいたことがあります。

会議の途中で、AI参加者側のMeet画面を開いて、そのマイクをミュートにしました

会議室は静かになります。でもあとからChatGPT側の履歴を見ると、その間もずっと相槌を打ち続けていました。

マイクを切るというのは「AIの声が会議に流れなくなる」だけです。

議事録:形にはなる、でも混ざる

会議の最後に、議事録をお願いしました。

出てきたものは、たしかに議事録の形をしていました。決定事項があり、担当者つきのタスクがあり、保留事項まで並んでいます。会議で実際に話した内容も、ちゃんと入っています。

ただ、会議で一度も話していない項目が紛れ込んでいました。

具体的には、このツールのセットアップ中に出てきた技術用語が、そのままタスクの一つとして議事録に載っていたんです。その日の会議とはまったく関係のない話です。

これは精度以前の問題です。「拾いきれていない」なら人が足せばいいですが、「話していないことが載る」となると、読んだ人が誤解します。そのまま共有するのは危険ということになります。

心当たりはあります

ChatGPTのプロジェクト設定には「メモリ」という項目があって、初期状態では「プロジェクト外のチャットのメモリにもアクセスできる」となっています。

つまり、別の会話で話した内容を覚えていて、それを今日の会議の議事録に混ぜてしまった可能性があります。

これは次回、設定を変えて確かめてみます。

いまのところの結論

用途によって、向き不向きがはっきり分かれます。

使い方

相性

1対1の通話(電話の一次対応など)

◎ 全二重の良さが活きる

人間が2人以上いる会議にAIを同席させる

× 構造的に厳しい

「クライアントとの会議に同席させて、最後にAIが締める」という使い方をイメージしていましたが、そういう会議はたいてい3人以上です。用途と設計が、根本的にずれていたことになります。

一方で、1対1なら本当に自然に話せます。これは前回の記事で実感したとおりです。問い合わせの一次受けのような使い方なら、じゅうぶん現実味があります。

「会議AI」ではなく「対話AI」として見れば、評価は全然違ってくるということですね。


この記事で使ったもの

  • Meetron(meeting-copilot)/ GPL v3 / macOS専用

  • ChatGPT 無料プラン(音声モード・GPT-Live)

  • Google Meet

  • MacBook Air(Apple Silicon)

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