「見直すAI」Glimpseを試してみた|ラーメン・梅酒・イルカ動画で分かった得意と苦手

「見直すAI」Glimpseを試してみた|ラーメン・梅酒・イルカ動画で分かった得意と苦手

Glimpse検証記事結論:「見る力」はあるけれど、思い込みが強いAIでした

2026年10月16日に公開された画像・動画向けのAI「Glimpse(グリンプス)」を、身近な写真と動画で試してみました。結論から言うと、数を数えること、文字を読むこと、動きを秒単位で追うことは得意でした。ボケて人の目では読めない丼の文字から、画像検索を使ってラーメン店の名前まで当てています。

一方で、聞かれていない細かいところを「一般的なイメージ」で埋めてしまうクセがありました。絵に描かれていない鯛を恵比寿に持たせたり、ボールをくわえているイルカを「鼻先に乗せている」と言い張ったりします。音声は自分では聞き直せず、日本語の声を英語として書き起こしていました。

ただし、最初に「一般的な知識で補わず、描かれているものだけ答えて」と伝えると、精度ははっきり上がりました。使うときは、聞き方の工夫が大事なツールです。

試したこと

結果

ボケた丼の文字から店名を当てる

○(画像検索を自動で併用)

梅酒の瓶の本数とラベル名

○(8本・8つとも正解)

イルカがボールを受けた回数

○(5回、秒数もほぼ正確)

ラーメンの具の見分け

×(玉ねぎを白ネギかニンニクと回答)

七福神の持ち物

×(描かれていない物を回答)→指示を変えると○

イルカがボールをくわえているか

×(指摘しても「鼻先」と言い張った)

動画の音声の書き起こし

×(日本語を英語として誤認識)

Glimpseとは?画像を「見直しながら」考えるAI

Glimpseは、アメリカ・パロアルトのスタートアップElorian(エロリアン)が作った、画像と動画を理解するためのAIです。開発チームには、GoogleやAppleでAIの研究をしていた人たちが集まっています。

ふつうのAIは、画像を一度見たら、あとはその記憶をもとに答えを考えます。Glimpseは考える途中で画像に戻り、気になるところを拡大したり、動画のコマを取り直したりして確かめます。スマホの写真を指で広げて、何度も見直すようなイメージです。

項目

内容

開発元

Elorian(アメリカ・パロアルト)

公開日

2026年10月16日(研究用のプレビュー版)

試せる場所

公式サイトのチャット画面とAPI

料金(API)

入力100万トークンあたり0.6ドル、出力3ドル

日本語

画面も回答も日本語に対応

今回は公式サイトのチャット画面を使い、精度を一番高くする「超高(extra high)」設定で試しました。Googleアカウントでログインするだけで、すぐに使えます。

Glimpseのチャット画面。写真や動画を添付して質問するだけで使えます

検証1:ラーメンの写真で「店名」と「具」を聞いてみた

最初は、大阪・福島の「らーめん小僧」で撮ったラーメンの写真です。こんな質問を送りました。

このラーメンの具を全部挙げて、それぞれの数を数えてください。丼の縁の金色の文字も読んでください。

検証に使ったラーメンの写真

ボケた文字から店名を特定

回答までは約4分。Glimpseは作業を始めて3秒ほどで「ラーメンの写真をネットで検索中」という表示に切り替わり、丼の文字を何度も拡大しはじめました。

 

作業を始めて3秒で「SEARCHING FOR THE RAMEN PHOTO ONLINE」に。下に拡大した画像が並びます

拡大された文字がこちらです。正直、人の目ではまったく読めません。

Glimpseが拡大した丼の金文字。人の目ではギリ読める

それでもGlimpseは、丼の文字を「極濃豚骨」「らーめん小僧」と答え、店名も正解しました。ただし本人も「文字はボケていて断定できないが、画像検索で一致した」と書いています。文字を読んだというより、写真から自分で画像検索をかけて店を特定したというのが正確です。参考にしたページとして挙げた公式サイトや食べログのURLも、実際に存在していました。

具の見分けは「思い込み」が出た

一方、具の答えには間違いがありました。

具

Glimpseの答え

実際

白い刻み具

刻み白ネギか刻みニンニク

刻み玉ねぎ

チャーシュー

2枚

写真では1枚に見える

海苔

2枚

2枚

青ネギ

1束

1束

玉ねぎは「もう一度よく見て」と伝えると、「刻み玉ねぎの可能性が高い」と直しました。

困ったのはチャーシューです。私には、脂身と赤身の層がある1枚の豚バラにしか見えません。真上から撮った写真も追加して「どの線で分かれているの?」と聞きましたが、Glimpseは3回聞き直しても「2枚です」と譲りませんでした。

真上から撮った写真。チャーシューは1枚に見えます

Glimpseがチャーシューを拡大して「2枚」と判断した画像

「どの線で分かれている?」と聞いたときの拡大画像。境目の説明は聞くたびに変わりました

「どうしてもチャーシューは2枚だと言っていますね」「同じ肉の脂身と赤身にわかれているようにしか見えない」――作業中に思わずこうつぶやきました。しかも「境目はどの線?」と聞くたびに、答える線が変わります。

ちなみに、お店の情報ではこのラーメンのチャーシューは2枚です。Glimpseに確認すると「チャーシューの判断にネット検索は使っていない」とのことでした。たまたまその日は1枚だったのか、実は2枚が重なっていたのかは、写真からは分かりません。ただ、根拠の説明が聞くたびに変わるのに結論だけは変えないところに、このAIの「決めつけの強さ」が出ているように感じました。

検証2:七福神の梅酒ボトルで「数える力」と「読む力」

次は、七福神が描かれた梅酒の瓶が並んだ写真です。七福神なのに瓶は8本あり、8本目は神様ではなく「七宝福梅」という宝船のラベルです。「七福神だから7本」と思い込むかどうかも見どころです。

瓶は何本ありますか?それぞれのラベルの名前を左から順に読んでください。七福神は全員そろっていますか?

七福神の梅酒ボトル。七福神なのに8本あるのがポイントです

本数とラベル名は全問正解

本数は8本、ラベル名も8つとも正解でした。奥の棚のワインや鏡に映った瓶は数に入れず、8本目も「七福神7人+宝船」とちゃんと説明できています。毛筆風の文字も問題なく読めていました。

持ち物は「定番のイメージ」で埋めた

気になったのは、聞いていない「持ち物」まで書き添えた部分です。

ラベル

Glimpseの答え

実際に描かれているもの

エビス福梅

扇と鯛

扇子と青梅(鯛はなし)

毘沙門福梅

宝塔と虎

三つまたの矛と虎(宝塔はなし)

布袋福梅

打ち出の小槌

うちわ、おちょこ、ひょうたん、ウサギ


左からエビス・毘沙門・布袋。鯛も宝塔も打ち出の小槌も描かれていません

3つとも、七福神の「よくある持ち物」そのままです。絵を見ずに、知識で穴埋めした可能性が高そうです。「なんか元々持っている情報で埋めて答えを持ってくることが多いんかな」というのが、ここでの正直な感想です。

「ラベルの絵を拡大して、実際に描かれている持ち物を確認して」と指摘すると、今度はおちょこやウサギ2匹まで正確に答え直しました。

最初に「描かれているものだけ」と伝えると精度が上がる

そこで、新しいチャットで最初からこう伝えてみました。

各ラベルに描かれている人物と、その持ち物を左から順に答えてください。一般的な七福神の知識で補わず、絵に実際に描かれているものだけを答えてください。

結果は、8本とも絵のとおりでした。面白いのは、実際に鯛が描かれている「七宝福梅」のラベルにだけ、鯛を挙げたことです。一言加えるだけで、思い込みで埋めるクセを抑えられました。

「描かれているものだけ」と指示したときの回答。8本とも絵のとおりでした

ただし日本語の文章には、「土锤」「顶端」のような中国語の簡体字が混ざっていました。日本語の表現は、まだ少し荒い印象です。

検証3:イルカの動画で「動きを追う力」

最後は、Glimpseが一番得意とする動画です。水族館で、イルカがトレーナーとボールをやりとりする約14秒の動画を使いました。ボールが画面の外に出たり入ったりするので、動きを追いかけられるかが試されます。

この動画で何が起きたかを、秒数つきで時系列に説明してください。イルカは何回ボールを受け止めましたか?最後にボールはどうなりましたか?

【動画】イルカとボールのやりとり(YouTubeにアップしてURLを埋め込み。撮影中の声が入っているので、音声を消した版にするかは要検討)

回数とタイミングは正確

イルカがボールを受けたのは5回。Glimpseは「2.0秒・4.2秒・6.9秒・8.7秒・11.6秒」と、秒数までほぼ正確に答えました。画面の外に出たボールが戻ってくる流れも、きちんと追えています。右側には動画を再生できる画面が出て、回答の秒数を押すとその場面に飛べるのも便利でした。

秒数つきのタイムライン。右側の動画プレーヤーで、その場面をすぐ確認できます

「くわえている」のに「鼻先に乗せている」

ところがGlimpseは、イルカが「ボールを鼻先に乗せてバランスをとっている」と説明しました。実際は、口を開けてボールをくわえています。拡大すると、ボールのまわりに歯まで見えます。

ボールをくわえるイルカ

動画から切り出した4場面。どれも口を開けてボールをくわえています

「くわえていませんか?」と指摘しても、Glimpseは「受け止めた瞬間は口を閉じている。くわえているのではなく、鼻先でのバランス芸です」と言い切りました。「イルカのボール芸=鼻先」というイメージが強すぎて、見え方を上書きしているように感じます。チャーシューのときと同じパターンです。

また「トレーナーが投げたのは冒頭の1回だけ」とも答えていました。実際には冒頭のあとにもう1回投げています。自分で「6秒ころにトレーナーの手が見える」と書いていたのに、最後のまとめに反映できていませんでした。こちらは指摘すると認めました。

音声は「聞いていなかった」

いちばん面白かったのが音声です。動画には撮影中の声が入っていて、Glimpseはそれを英語として書き起こしていました。

実際の声

Glimpseの書き起こし

かぱっ!かぱっ!かぱっ!

Club, club, club.

うまいなー

Oh my god.

かわいい

Oh wait.

「うまいなー」が「Oh my god」になりました。

「日本語として聞き直して」と頼むと、Glimpseは「この環境では動画から音声を再生・抽出する手段がない」と答えました。最初の英語は、別の音声認識の結果をそのまま使っていたようです。そのうえで「くるくるくる、おー、まて」と日本語を推測しましたが、正解とはまったく違いました。「推定です」と断ってはいたものの、音声の内容を知りたい用途には向きません。

まとめ:Glimpseの得意・苦手と上手な聞き方

3つの検証を通して、Glimpseは「見る力はあるけれど、思い込みが強いAI」だと分かりました。チャーシューの件から、決めつけが激しいという印象は最後まで変わりませんでした。

得意なこと

  • 物の数を数える(瓶の本数、イルカのキャッチ回数)

  • 画像の中の文字を読む(毛筆風のラベルもOK)

  • 動画の出来事を秒単位で並べる

  • 画像検索を自動で使って、写っている場所やお店を調べる

苦手なこと

  • 聞かれていない細部を、一般的なイメージで埋めてしまう

  • イメージが強いと、指摘しても直らないことがある

  • 動画の音声は自分では聞いておらず、日本語を英語として誤認識した

  • 日本語の文章に、不自然な表現や中国語の漢字が混ざる

  • 精度を一番高くすると、1回の回答に2〜4分ほどかかる

上手な聞き方

  1. 「一般的な知識で補わず、写っているものだけ答えて」と最初に伝える

  2. 知りたいことは、質問の中で具体的に聞く(聞かれたことは、拡大して丁寧に確かめてくれます)

  3. 怪しいところは「ここを拡大して確認して」と場所を指定して聞き直す

よくある質問

Q. Glimpseは無料で使えますか? 公式サイトのチャット画面は、Googleアカウントでログインするだけで試せました(2026年10月19日時点)。APIは入力100万トークンあたり0.6ドル、出力3ドルの有料です。

Q. Glimpseはどこの国のツールですか? アメリカ・パロアルトのスタートアップElorianの製品です。公開されているオープンウェイトのモデルをベースに作られていますが、どのモデルかは公表されていません。

Q. 日本語で使えますか? 画面も回答も日本語に対応しています。ただし、文章に中国語の漢字が混ざることがありました。

Q. 動画の音声も理解できますか? 今回の検証では、日本語の声を英語として書き起こしました。Glimpse自身も「音声を再生する手段がない」と答えているので、音声の内容を知りたいときは別のツールを使うのが安心です。

Q. HEICの写真は使えますか? iPhoneのHEIC形式はアップロードできませんでした。JPGに変換すれば使えます。動画はiPhoneのMOV形式のまま使えました。

参考

Glimpse検証記事結論:「見る力」はあるけれど、思い込みが強いAIでした

2026年10月16日に公開された画像・動画向けのAI「Glimpse(グリンプス)」を、身近な写真と動画で試してみました。結論から言うと、数を数えること、文字を読むこと、動きを秒単位で追うことは得意でした。ボケて人の目では読めない丼の文字から、画像検索を使ってラーメン店の名前まで当てています。

一方で、聞かれていない細かいところを「一般的なイメージ」で埋めてしまうクセがありました。絵に描かれていない鯛を恵比寿に持たせたり、ボールをくわえているイルカを「鼻先に乗せている」と言い張ったりします。音声は自分では聞き直せず、日本語の声を英語として書き起こしていました。

ただし、最初に「一般的な知識で補わず、描かれているものだけ答えて」と伝えると、精度ははっきり上がりました。使うときは、聞き方の工夫が大事なツールです。

試したこと

結果

ボケた丼の文字から店名を当てる

○(画像検索を自動で併用)

梅酒の瓶の本数とラベル名

○(8本・8つとも正解)

イルカがボールを受けた回数

○(5回、秒数もほぼ正確)

ラーメンの具の見分け

×(玉ねぎを白ネギかニンニクと回答)

七福神の持ち物

×(描かれていない物を回答)→指示を変えると○

イルカがボールをくわえているか

×(指摘しても「鼻先」と言い張った)

動画の音声の書き起こし

×(日本語を英語として誤認識)

Glimpseとは?画像を「見直しながら」考えるAI

Glimpseは、アメリカ・パロアルトのスタートアップElorian(エロリアン)が作った、画像と動画を理解するためのAIです。開発チームには、GoogleやAppleでAIの研究をしていた人たちが集まっています。

ふつうのAIは、画像を一度見たら、あとはその記憶をもとに答えを考えます。Glimpseは考える途中で画像に戻り、気になるところを拡大したり、動画のコマを取り直したりして確かめます。スマホの写真を指で広げて、何度も見直すようなイメージです。

項目

内容

開発元

Elorian(アメリカ・パロアルト)

公開日

2026年10月16日(研究用のプレビュー版)

試せる場所

公式サイトのチャット画面とAPI

料金(API)

入力100万トークンあたり0.6ドル、出力3ドル

日本語

画面も回答も日本語に対応

今回は公式サイトのチャット画面を使い、精度を一番高くする「超高(extra high)」設定で試しました。Googleアカウントでログインするだけで、すぐに使えます。

Glimpseのチャット画面。写真や動画を添付して質問するだけで使えます

検証1:ラーメンの写真で「店名」と「具」を聞いてみた

最初は、大阪・福島の「らーめん小僧」で撮ったラーメンの写真です。こんな質問を送りました。

このラーメンの具を全部挙げて、それぞれの数を数えてください。丼の縁の金色の文字も読んでください。

検証に使ったラーメンの写真

ボケた文字から店名を特定

回答までは約4分。Glimpseは作業を始めて3秒ほどで「ラーメンの写真をネットで検索中」という表示に切り替わり、丼の文字を何度も拡大しはじめました。

 

作業を始めて3秒で「SEARCHING FOR THE RAMEN PHOTO ONLINE」に。下に拡大した画像が並びます

拡大された文字がこちらです。正直、人の目ではまったく読めません。

Glimpseが拡大した丼の金文字。人の目ではギリ読める

それでもGlimpseは、丼の文字を「極濃豚骨」「らーめん小僧」と答え、店名も正解しました。ただし本人も「文字はボケていて断定できないが、画像検索で一致した」と書いています。文字を読んだというより、写真から自分で画像検索をかけて店を特定したというのが正確です。参考にしたページとして挙げた公式サイトや食べログのURLも、実際に存在していました。

具の見分けは「思い込み」が出た

一方、具の答えには間違いがありました。

具

Glimpseの答え

実際

白い刻み具

刻み白ネギか刻みニンニク

刻み玉ねぎ

チャーシュー

2枚

写真では1枚に見える

海苔

2枚

2枚

青ネギ

1束

1束

玉ねぎは「もう一度よく見て」と伝えると、「刻み玉ねぎの可能性が高い」と直しました。

困ったのはチャーシューです。私には、脂身と赤身の層がある1枚の豚バラにしか見えません。真上から撮った写真も追加して「どの線で分かれているの?」と聞きましたが、Glimpseは3回聞き直しても「2枚です」と譲りませんでした。

真上から撮った写真。チャーシューは1枚に見えます

Glimpseがチャーシューを拡大して「2枚」と判断した画像

「どの線で分かれている?」と聞いたときの拡大画像。境目の説明は聞くたびに変わりました

「どうしてもチャーシューは2枚だと言っていますね」「同じ肉の脂身と赤身にわかれているようにしか見えない」――作業中に思わずこうつぶやきました。しかも「境目はどの線?」と聞くたびに、答える線が変わります。

ちなみに、お店の情報ではこのラーメンのチャーシューは2枚です。Glimpseに確認すると「チャーシューの判断にネット検索は使っていない」とのことでした。たまたまその日は1枚だったのか、実は2枚が重なっていたのかは、写真からは分かりません。ただ、根拠の説明が聞くたびに変わるのに結論だけは変えないところに、このAIの「決めつけの強さ」が出ているように感じました。

検証2:七福神の梅酒ボトルで「数える力」と「読む力」

次は、七福神が描かれた梅酒の瓶が並んだ写真です。七福神なのに瓶は8本あり、8本目は神様ではなく「七宝福梅」という宝船のラベルです。「七福神だから7本」と思い込むかどうかも見どころです。

瓶は何本ありますか?それぞれのラベルの名前を左から順に読んでください。七福神は全員そろっていますか?

七福神の梅酒ボトル。七福神なのに8本あるのがポイントです

本数とラベル名は全問正解

本数は8本、ラベル名も8つとも正解でした。奥の棚のワインや鏡に映った瓶は数に入れず、8本目も「七福神7人+宝船」とちゃんと説明できています。毛筆風の文字も問題なく読めていました。

持ち物は「定番のイメージ」で埋めた

気になったのは、聞いていない「持ち物」まで書き添えた部分です。

ラベル

Glimpseの答え

実際に描かれているもの

エビス福梅

扇と鯛

扇子と青梅(鯛はなし)

毘沙門福梅

宝塔と虎

三つまたの矛と虎(宝塔はなし)

布袋福梅

打ち出の小槌

うちわ、おちょこ、ひょうたん、ウサギ


左からエビス・毘沙門・布袋。鯛も宝塔も打ち出の小槌も描かれていません

3つとも、七福神の「よくある持ち物」そのままです。絵を見ずに、知識で穴埋めした可能性が高そうです。「なんか元々持っている情報で埋めて答えを持ってくることが多いんかな」というのが、ここでの正直な感想です。

「ラベルの絵を拡大して、実際に描かれている持ち物を確認して」と指摘すると、今度はおちょこやウサギ2匹まで正確に答え直しました。

最初に「描かれているものだけ」と伝えると精度が上がる

そこで、新しいチャットで最初からこう伝えてみました。

各ラベルに描かれている人物と、その持ち物を左から順に答えてください。一般的な七福神の知識で補わず、絵に実際に描かれているものだけを答えてください。

結果は、8本とも絵のとおりでした。面白いのは、実際に鯛が描かれている「七宝福梅」のラベルにだけ、鯛を挙げたことです。一言加えるだけで、思い込みで埋めるクセを抑えられました。

「描かれているものだけ」と指示したときの回答。8本とも絵のとおりでした

ただし日本語の文章には、「土锤」「顶端」のような中国語の簡体字が混ざっていました。日本語の表現は、まだ少し荒い印象です。

検証3:イルカの動画で「動きを追う力」

最後は、Glimpseが一番得意とする動画です。水族館で、イルカがトレーナーとボールをやりとりする約14秒の動画を使いました。ボールが画面の外に出たり入ったりするので、動きを追いかけられるかが試されます。

この動画で何が起きたかを、秒数つきで時系列に説明してください。イルカは何回ボールを受け止めましたか?最後にボールはどうなりましたか?

【動画】イルカとボールのやりとり(YouTubeにアップしてURLを埋め込み。撮影中の声が入っているので、音声を消した版にするかは要検討)

回数とタイミングは正確

イルカがボールを受けたのは5回。Glimpseは「2.0秒・4.2秒・6.9秒・8.7秒・11.6秒」と、秒数までほぼ正確に答えました。画面の外に出たボールが戻ってくる流れも、きちんと追えています。右側には動画を再生できる画面が出て、回答の秒数を押すとその場面に飛べるのも便利でした。

秒数つきのタイムライン。右側の動画プレーヤーで、その場面をすぐ確認できます

「くわえている」のに「鼻先に乗せている」

ところがGlimpseは、イルカが「ボールを鼻先に乗せてバランスをとっている」と説明しました。実際は、口を開けてボールをくわえています。拡大すると、ボールのまわりに歯まで見えます。

ボールをくわえるイルカ

動画から切り出した4場面。どれも口を開けてボールをくわえています

「くわえていませんか?」と指摘しても、Glimpseは「受け止めた瞬間は口を閉じている。くわえているのではなく、鼻先でのバランス芸です」と言い切りました。「イルカのボール芸=鼻先」というイメージが強すぎて、見え方を上書きしているように感じます。チャーシューのときと同じパターンです。

また「トレーナーが投げたのは冒頭の1回だけ」とも答えていました。実際には冒頭のあとにもう1回投げています。自分で「6秒ころにトレーナーの手が見える」と書いていたのに、最後のまとめに反映できていませんでした。こちらは指摘すると認めました。

音声は「聞いていなかった」

いちばん面白かったのが音声です。動画には撮影中の声が入っていて、Glimpseはそれを英語として書き起こしていました。

実際の声

Glimpseの書き起こし

かぱっ!かぱっ!かぱっ!

Club, club, club.

うまいなー

Oh my god.

かわいい

Oh wait.

「うまいなー」が「Oh my god」になりました。

「日本語として聞き直して」と頼むと、Glimpseは「この環境では動画から音声を再生・抽出する手段がない」と答えました。最初の英語は、別の音声認識の結果をそのまま使っていたようです。そのうえで「くるくるくる、おー、まて」と日本語を推測しましたが、正解とはまったく違いました。「推定です」と断ってはいたものの、音声の内容を知りたい用途には向きません。

まとめ:Glimpseの得意・苦手と上手な聞き方

3つの検証を通して、Glimpseは「見る力はあるけれど、思い込みが強いAI」だと分かりました。チャーシューの件から、決めつけが激しいという印象は最後まで変わりませんでした。

得意なこと

  • 物の数を数える(瓶の本数、イルカのキャッチ回数)

  • 画像の中の文字を読む(毛筆風のラベルもOK)

  • 動画の出来事を秒単位で並べる

  • 画像検索を自動で使って、写っている場所やお店を調べる

苦手なこと

  • 聞かれていない細部を、一般的なイメージで埋めてしまう

  • イメージが強いと、指摘しても直らないことがある

  • 動画の音声は自分では聞いておらず、日本語を英語として誤認識した

  • 日本語の文章に、不自然な表現や中国語の漢字が混ざる

  • 精度を一番高くすると、1回の回答に2〜4分ほどかかる

上手な聞き方

  1. 「一般的な知識で補わず、写っているものだけ答えて」と最初に伝える

  2. 知りたいことは、質問の中で具体的に聞く(聞かれたことは、拡大して丁寧に確かめてくれます)

  3. 怪しいところは「ここを拡大して確認して」と場所を指定して聞き直す

よくある質問

Q. Glimpseは無料で使えますか? 公式サイトのチャット画面は、Googleアカウントでログインするだけで試せました(2026年10月19日時点)。APIは入力100万トークンあたり0.6ドル、出力3ドルの有料です。

Q. Glimpseはどこの国のツールですか? アメリカ・パロアルトのスタートアップElorianの製品です。公開されているオープンウェイトのモデルをベースに作られていますが、どのモデルかは公表されていません。

Q. 日本語で使えますか? 画面も回答も日本語に対応しています。ただし、文章に中国語の漢字が混ざることがありました。

Q. 動画の音声も理解できますか? 今回の検証では、日本語の声を英語として書き起こしました。Glimpse自身も「音声を再生する手段がない」と答えているので、音声の内容を知りたいときは別のツールを使うのが安心です。

Q. HEICの写真は使えますか? iPhoneのHEIC形式はアップロードできませんでした。JPGに変換すれば使えます。動画はiPhoneのMOV形式のまま使えました。

参考

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